★『婚約者の友人』フランソワ・オゾン監督 (フランス)
まず、チラシに魅かれて、観たいと思った。鼻の下にひげを生やした男性の横顔と向こう側でそれを見る女性。
謎めいた雰囲気。予告ではミステリーとあったが、そんな風には思えなかった。
戦争で婚約者を亡くした女性の目の前に現れた、婚約者の友人だという男性が墓の前に現れる。
彼と家族ぐるみで親しくなったのちに知らされる真実。
嘘をつき通すことのできなかった男が故郷ドイツに帰る前、女性に漏らした真実とは信じられない光景だった。
男は婚約者の両親にも話すというのを女は止めて自分から話すと言うのを聞き入れフランスへ帰るのだった。
手紙が彼から届く、両親の反応はどうだったか、と。でも女は言えていないままだった。
その両親には嘘をついた。ドイツの彼は元気でやっていると。手紙の返事がなかなか書けないまま。
しかし、ようやく書いて送ると、手紙は住所不明で戻ってきた。そこから女は居てもたってもいられずドイツへと旅立つ。
その旅はスリリングで、(戦後とはいえドイツから元敵国フランスへ渡る)が、雰囲気だけで・・・
それほど難なく彼の住む家を探し当て彼と再会するのだった。
そこにミステリーなど何もない。いつしか愛してしまった、婚約者の友人だと嘘ついていた男を、そして男も・・・
しかし結末にあるものは男の打算でしかない。幼馴染の女性と母親の承認のもとで結婚する予定なのだ。
アンハッピーな物語、ヒロインの気持ちを思うと、どこにも気持ちのやり場がない、という状況だろう。とても悲惨さを感じた。
苦労してたどり着いた先の不幸。地獄に落ちた思いをし、が、それもほんのひと時。
我に返れば、ほんとに笑っちゃう、っていう気持ちが伝わる。
婚約者の両親には嘘をつき通したまま更に嘘を重ね、新しい人生を異国で送ろうとする。前向きに。笑顔で。
映画は全体がモノクロだったが、夢や想いの場面ではカラーになった。それはほんの3回だ。
カラーの場面はやはり明るい気持ちになるし、幸せ色だ。
そして絵と音楽。バイオリンで奏でる曲(聞き覚えがあるのだがタイトルが出てこなくて)は胸がキューンと締め付けられる曲だ。
絵は男の家に飾られていて、それがパリの美術館にも飾られていてその絵の前で女が笑っているというラストシーン。
強調のように現れる絵・・・上半身が仰向けに折れ曲がっている状態の死んでいる絵。(自殺?)それが最後カラーになる場面が・・・
ま、ちょっとそんなところがミステリーなのだろうか・・・